日常生活をはじめ多くのスポーツが平地(水平な所)で行っていますが、スキーが異なるのは雪の斜面を上から 下に向かって滑るため、より安定した身体のバランス保持が必要です。 スキーは地球の中心に向かって働く重力を利用して斜面を滑るので特別な体力や筋力は必要なく、 日常の歩く走る動作の延長線上にありますので、年齢・体力を超えて楽しめる生涯スポーツです。

スキーの魅力は何と云っても見渡す限り真っ白な大自然の中を雪煙を舞い上げて滑る爽快感とスピード感です。 しかしこの魅力と背中合わせに危険がありますので、理に適った不変の原理原則を理解して滑ることこそが、 最大限に危険を回避し、安全で思い通りの滑りが可能となり、上達する程面白さの世界が更に大きく拡がります。
日常の歩く・走る動作が水平な地面あっても傾斜面であっても、身体の両肩を結んだ線が水平(斜面に平行ではない)になっていればバランスが安定して保持されます。 スキーは斜面の上から下に向かって滑りますが、歩く・走る動作同様に両肩を結んだ線が水平になっていれば安定したバランスを保つことが出来ます。 但し、ターン始動期のターン前半では、回転方向の弧の内側に身体(重心)を傾けますが、傾きの角度は回転弧の大きさと滑走スピードによって、「遠心力」と「向心力」が作用するので、スピードが速いほど傾く角度が大きくなります。

安定してバランスを保持するためには、下半身の脚部を大きくターン内側に傾けても上体の眉間からヘソを結ぶ身体の軸線を重力線(鉛直)上に保つことによって、アンギュレーション(外向傾姿勢)のフォームでは両肩を結んだ線が水平になることにより、高速ターン時に作用する遠心力を効率よく活用したターンが行えます。 そしてターンの度に、身体を左右交互に回転方向に傾けて元に戻すと云う動作を繰り返す際に、バランスとアンバランスの均衡を保って雪の斜面を滑るので、バランスの保持が非常に重要となります。

両肩を結んだ線を斜面に平行にと昔から云われていますが、例えば斜度35度の急斜面に於いて時速5km~10kmの低速ターンでは、バランスを保つことが不可能ではないでしょうか。 斜面の緩急に拘わらず全てに於いて、理論が一致しなければ何処かがおかしいと云う事になります。
歩いたり走ったりそして、立ち止まっている時にも身体を支えているのは、骨格と筋力になりますが、身体の体重を支えている脚部の踵辺り(踝から土踏まず)の位置に大部分の体重が掛りますので、スキーを滑る時は、斜度の緩急やスピードに拘わらず自身の体重を、土踏まずから踵辺りで支えるように意識しましょう。

昔からスキー指導では、前傾姿勢で拇指球荷重と云いますが、斜度やスピードに関係なくが重力線に沿って体重の負荷が掛りますので現実的には踵寄り荷重となり実際の見た目も後傾姿勢となります。但し、ターン始動期には身体がターン内側に傾いた時に、荷重ポイントが拇指球辺りに移動して、結果的に前傾荷重となりますが、日常の歩く・走る動作に於いて坂道を下る時に、拇指球荷重にはなりませんね。
はじめに述べましたが、スキーを滑る時の動作は日常の歩く・走る時の動作と基本は一緒ですが、スキーは斜面の上方から下方に向かって左右に回転(ターン)して方向を変えながら滑り降ります。その際にターンする方向に、内足(脚)を半歩踏み出すように爪先を向けながら身体をターン方向に振り込むように傾けることで、ターン始動期に雪面への過度なエッジングの抵抗がなくなり、効率よくスムーズにターンを導くことが出来ます。

昔から云われている技術に、上体は常に最大傾斜線(フォールライン)に向けておくことが一般的ですが、ターン終盤からエッジを切り替えるターン始動期には、スキーが最大傾斜線より横向きになっていますので、この時に上半身と下半身に捻り動作(アンギュレーション)が現れてしまうと、ターン始動期から雪面に対して必要以上にエッジングが強くなり雪面抵抗が大きくなり過ぎてスキー操作が難しくなってしまうので、ターン方向にスキーが向くのと一緒に身体全体がターン方向に正対したままでターン中盤にアンギュレーションがとれるのが理想的です。
スキー板の形状は、昔のノーマルスキーでも現在のカービングスキーに於いても、トップの接雪部の幅が一番広く、次いでテール部の接雪部が二番目に広く、スキー板の長さの半分より少し後ろにシューセンター位置があり、 シューセンター位置が最も細いのがスキーの基本形状で、今も昔もこの基本は変わりません。

1.それでは何故トップ部の幅が一番広くてテールの方が細いのか、それは今も昔もスキーは「ズレ」ることで、 スキーの方向を自在にコントロールすることが出来るのであって、サイドカーブだけでは決まったサイドカーブのターン弧しか描けません。 スキーは体重によって荷重されてスキーが撓んではじめて、スキーのトップがターン内側に食い込むようにズレてテールがターン外側にズレて、はじめてスムーズなターンが可能となります。

2.シューセンターが何故、スキーの長さの半分より後ろについているのでしょうか。 それはモーターボートや水上スキーは、スピードを出した時に先端が水面より上 がって後ろ気味に荷重を掛けることで、推進力が増して安定して方向が導けるから です。 スキーも本質は同じですから、前傾してトップから切り込む意識では、スキーのトップ部に負荷が掛り過ぎてしまい、トップより幅の狭いテールには殆ど負荷がなくなってしまうために、「ズレ」をコントロール出来ずオーバースピードになってしまい、ショートターンや深雪そして凸凹斜面が思うように滑れない原因です。 従ってターン後半は、後傾姿勢のポジションになってスキーのテール部に荷重が掛ることで、「ズレ」が自在にコントロール出来るように設計されています。